コレステロールを下げる対策は、食事、運動が基本です。
もちろん分かっていますが、明日から始めよう・・・と先延ばしにしていませんか?
特に運動に関しては「外で行うもの」「時間をとって行うもの」という認識になりがちで、初めの一歩を踏み出しにくいのではないでしょうか。
でも運動は、特別な器具がなくても自宅で簡単に始められるのです。
家事の合間に、テレビを見ながらなど「すき間時間運動」「ながら運動」をする方が、気を張らずに長く継続していけます。
コレステロールを下げるために有効な運動は、有酸素運動で、室内での運動でも十分に効果が得られます。
ここでは、自宅で気軽にできるおすすめの有酸素運動を看護師が紹介していきます。
有酸素運動とは
有酸素運動とは、軽い負荷をかけた運動を長時間継続する運動です。
脂肪を利用して、筋肉を収縮させるエネルギーを産生することから有酸素運動と呼ばれています。
脂肪を分解し燃焼させるため、血中の中性脂肪、悪玉コレステロール(LDL)の減少、善玉コレステロール(HDL)の増加が期待でき、ダイエットに適しています。
体への負担も少ないのが特徴です。
有酸素運動をする時のポイントを見てみましょう。
<有酸素運動のポイント>
運動の強度:軽~中程度の負荷を継続して負荷する
ややきついが続けられる強さで、安静時の心拍数の1.5倍(心拍数110~120/分程度)が目安です。軽く息が上がるくらいの負荷になります。
運動する時間:1回20分以上続ける
運動後10分はエネルギー源に糖が使われ、15分以降で脂肪が使われるため、20分以上続けると脂肪燃焼に効果的です。
運動するタイミング:食後30~60分後
食後に血糖値がピークになるのは、60-90分後です。ピーク前に軽く運動をすると、血糖値の上昇を抑え、中性脂肪やコレステロールの抑制にもつながります。
運動する回数:毎日、または週3日以上
毎日でなくても、1週間で合計150分以上を目安に運動すると効果が現れます。
運動する期間:2~3ヶ月以上
継続することで代謝系ホルモンなどの体内変化が起き、血中コレステロールの改善につながります。
<代表的な有酸素運動>
ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクスダンス、ヨガ など。
通勤時や外出時に、意識して歩く機会を増やすだけでも効果があります。
それでは具体的な、自宅でできる有酸素運動をご紹介していきましょう。
【有酸素運動①】その場で足踏み
難易度:★☆☆☆☆
ちょっとした時間に、すぐその場で実践できる方法です。
<実践法>
- 胸を張り正面を向く
- 普通に足踏みする(1分)
- 少しずつ太ももを高く上げ足踏みし、90℃~それ以上上げていく(1分)
- 普通の足踏みに戻す(1分)
2~4を繰り返す - 5~10分1セットで、1日3セット行う(目標:1日合計30分)
<ポイント>
- 姿勢をキープする
- 腕は90℃に曲げ、前後に大きく振る(肩甲骨を動かすイメージ)
- 少し息が上がる程度のペースで
<呼吸法>
- 口をすぼめて息を2回吐く→ 鼻から2回息を吸う
(先に吐くことを意識した方が、その後、酸素をたくさん吸える) - 慣れてきたら、息を吐く回数を増やす
(息を吐き切った方が、肺がよくしぼみ、その後、酸素がたくさん入る)
<効果>
太ももの大腿四頭筋、お尻の大殿筋や中殿筋、足の付け根の筋肉の腸腰筋も鍛えられます。
姿勢をキープすると、背筋や腹筋など体幹も鍛えられ、姿勢が良くなり、歩き方もきれいになります。
【有酸素運動②】エア縄跳び
難易度:★★☆☆☆
ちょっとした時間に、すぐその場で実践できる方法です。
消費カロリーの高い縄跳びが、室内でもできます。
<実践法>
- 縄跳びを持っているつもりで構える
- 縄跳びと同じに、上下に跳ぶ
- 3分1セットで、1日3セット行う(目標:1日合計10分)
<ポイント>
- つま先で静かに跳ぶ
- 高さは必要なく、つま先は床につけたままでよい
(高く跳ぶと膝や腰を痛める可能性がある) - 脇を引き締め、上腕は動かさない
<呼吸法>
- ジャンプに合わせて息を2回吐く→ 鼻から2回息を吸う
<効果>
縄跳びは10分で約70㎉消費され、エア縄跳びも同様の消費カロリーです。
縄に引っかかることでの中断がなく、自分のペースで行えます。
【有酸素運動③】ヨガ・杖のポーズ
難易度:★☆☆☆☆
ヨガは、呼吸を意識した有酸素運動です。
コレステロール対策を始め、生活習慣病全体の予防・改善、ダイエット、ストレス改善など、心身両面での効果があります。
杖のポーズは、座ったままで出来る、とてもシンプルなヨガです。
<実践法>
- 両足をまっすぐ伸ばし、床に座る
- 上体は背筋をピンと伸ばし、垂直に立てる
- つま先は天井に向け、足首を直角にする
手はお尻の横に置き、指先は前を向ける - 肋骨を伸ばし、背骨が杖になったように垂直を保つ
- 姿勢を30秒~1分キープする
- 力を抜く
5~6を3回1セットで、1日3~5セット行う(目標:1日合計10~15分)
<ポイント>
・壁を背にして座り、肩甲骨とお尻を壁に付けると垂直を保ちやすい
・肩の力は抜く
・視線は正面をまっすぐ見る
・手首や腰に故障がある場合は要注意
<呼吸法>
・口をすぼめて息をゆっくり吐く
・鼻からゆっくり息を吸う
・ゆっくりした呼吸を意識する
<効果>
肩と胸、足全体のストレッチになり、血行改善が期待できます。
背筋や腹筋が鍛えられ、姿勢を改善する効果があります。
呼吸法の大切さ
有酸素運動をする際は、呼吸を意識すると、より効果的になります。
呼吸法を意識することで、肺の柔軟性や機能が上がり、体が酸素を有効に利用できるようになります。
脂肪細胞では、ミトコンドリアが脂肪を代謝させますが、ミトコンドリアは酸素を使い脂肪代謝を行います。
そのため、酸素が多いほどミトコンドリアの活性化につながり、脂肪代謝率も上昇するのです。
それだけでなく、心肺機能や内分泌機能の向上、自律神経の調整にもつながり、体全体の機能アップ、ストレス改善効果につながります。
<ポイント>
- 始めに口をすぼめて息を吐き出す(呼気)
- 鼻から息を吸う(吸気)
- 慣れてきたら呼気2:吸気1にする
まとめ
運動の効果が検査結果に反映されるには、数ヶ月かかります。
そのため運動をせっかく始めても、効果がなかなか実感できず途中で挫折しやすいと思います。
しかし実際は、効果がないのではなく、運動開始後、1週間単位でホルモン分泌などにさまざまな変化が起こっているのです。
その結果が目に見えるようになるのが、数ヶ月後になる訳です。
目に見えなくても日々の少しずつの積み重ねが、実際の効果につながっています。
あきらめず、運動を毎日の習慣にできるように頑張りましょう。