マヌカハニーは、のど飴などにも配合されることもあり、健康に良い成分が多いとして近年注目されています。
しかし、マヌカハニー自体がどのようなもので、どのような効果があるのかはまだあまり詳しく知られていません。
マヌカハニーは、はちみつの1つです。
同じ蜂が集めるはちみつでも、蜂がどの花を主に密を集めてくるかで、はちみつの特徴が変わります。
マヌカハニーは、ニュージーランドなどのごく限らてた地域に育つ花のはちみつなのです。
そんなマヌカハニーは、コレステロールを低下させる作用があると言われていますが、それは本当でしょうか?
マヌカハニーの成分や摂り方などを管理栄養士が説明します。
マヌカハニーってどんな食べ物?
マヌカハニーは、ニュージーランドに生えている「マヌカ」という木の花の密から、蜂が作ったはちみつです。
マヌカはニュージーランドの先住民がその樹皮や葉を薬として使用するなど、とても重要な木として使われてきました。
マニカハニーは濃い琥珀色で、とろみが強く、やや薬のような香りもします。
独特のクセと、その希少さから、食べやすくするために水あめや、はちみつを混ぜた安価なマヌカハニーもありますが、マヌカハニーの効果を得るためには、できるだけ混ぜ物のない物のほうが良いです。
どんな栄養が入っているの?
マヌカハニーに含まれている栄養は、基本的には他のはちみつとあまり変わりはありません。
最も多い栄養成分は糖質です。
マヌカハニーだけに入っている成分としては、「メチルグリオキサール」や「グルコン酸」などがあります。
特に注目されているのはメチルグリオキサールで、殺菌力があるために、ニュージーランドでは虫歯の予防や怪我の治療などに昔から使われてきました。
風邪のひき始めに効果的な殺菌作用
マヌカハニーに含まれるメチルグリオキサールの殺菌作用を実感できるのは、風邪のひき始めです。
マヌカハニーを摂ると、喉の痛みなどが軽減し、風邪の悪化を防ぐとされています。
原産国のニュージーランドではよく使われている方法です。
風邪のひき始めに薬を使うかどうか悩む時には、マヌカハニーを試してみても良いですね。
マヌカハニーとコレステロールの関係は?
腸内細菌と胆汁酸とコレステロールの関係
コレステロールは体でさまざまな役割をしていて、胆汁酸の材料になるというのも役割のひとつです。
腸内に生息する細菌は胆汁酸を代謝します。
胆汁酸が代謝されると、不足分を合成する必要が出てコレステロールを消費します。
マヌカハニーが腸内環境を改善する働きがあると示唆されています。腸内環境が改善することで、腸内細菌の胆汁酸代謝に影響を与え、コレステロール値を下げる可能性があります。
マヌカハニーによって血中コレステロール値が下がったという研究結果はまだ出ていませんが、昔から健康食品として食べられていたマヌカハニーなので、これからの研究結果が待たれるところです。
マヌカハニーの腸内細菌活性化
メチルグリオキサールの殺菌力は、胃酸にも強く安定しているので、腸にまで届きます。
そして、腸内細菌を殺菌する作用があると言われています。
メチルグリオキサール自体には選択して菌を殺菌することが出来ないので、悪玉菌だけではなく、善玉菌も日和見菌も減らしてしまいますが、マヌカハニーに含まれるグルコン酸が善玉菌を繁殖させるので、結果として悪玉菌が減って善玉菌が増え、腸内環境が良くなるという効果が期待できるのです。
マヌカハニーおオススメの摂り方は?
マヌカハニーに含まれる殺菌作用のある「メチルグリオキサール」は加熱しても比較的安定している成分ですが、マヌカハニーはそのまま食べる方法が一般的です。
独特の香りととろみがあるので、そのままスプーンで口にするのはなかなか難しいと感じる人もいます。
加熱しないで食べるには、パンに塗って食べたり、ヨーグルトに入れて食べるのがオススメです。
マヌカハニーはニュージーランドで摂れる希少なはちみつです。
安価で売っている食べやすいマヌカハニーは、マヌカハニー100%では無いことも多いので、マヌカハニーを購入する時には、業界のオフィシャル数値である「UMF」の記載があるものを選ぶといいですね。
この基準は、ニュージーランド政府が認定した機関(Unique Mānuka Factor Honey Association)が定めている基準です。
マヌカハニーを摂る時の注意点は?
はちみつは高カロリー
多くの健康効果が期待できるマヌカハニーですが、はちみつであることには違いがありません。
大さじ1杯(約20g)で60kcalあります。
いくら健康効果が期待できるとしても、多く摂れば中性脂肪値が高くなったり、コレステロール値が上がる原因になります。
摂り過ぎには注意しましょう。
1歳未満は摂取しない
マヌカハニーは、はちみつなのです。ボツリヌス菌に汚染されていることがあります。
大人ではなんでもない菌でも、1歳未満では腸が未完成なので重篤な症状を引き起こすおそれがあります。
ひどい場合など、呼吸困難や呼吸停止になることもあり、死亡する例もあります。
母乳育児をしている場合には、母親もはちみつは食べられないと思ってしまいますが、母乳にボツリヌス菌が移行することはないので、母親がマヌカハニーを食べるのは問題ありません。
ただし、赤ちゃんが誤って食べてしまわないように保管などに注意が必要です。
アレルギーが出る場合もあるので注意が必要
はちみつは、アレルギーを起こしやすい食品です。
自然な形のはちみつは、花の花粉が含まれていることもあり、その花粉でアレルギー症状がでることがあるのです。
アレルギー症状が出て治まらない場合は、病院(皮膚症状なら皮膚科、喉なら耳鼻咽喉科、目のかゆみなら眼科など)に行って診察を受けましょう。
まとめ
マヌカハニーには殺菌作用があり、腸内細菌を活性化するのに役立ちます。
腸内細菌により胆汁酸が消費されると、さらに胆汁酸を作るためにコレステロールを消費するようになり、血中コレステロール値が下がる効果が期待できます。
マヌカハニーははちみつなので、摂り過ぎると逆効果です。多くても1日20g(大さじ1杯)程度に留めておくと良いでしょう。
マヌカハニーは希少で味も独特なので、安価にするためや食べやすいように、混ざり物を入れていることも多いです。できるだけ純粋なものから摂取することをオススメします。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。