「クリルオイル」という食品は、まだあまり世間に浸透している食品ではありません。
しかし、クリルオイルは多くの栄養成分を含んでおり、健康効果が大きく期待できる食品です。
特に、血中の脂質であるコレステロールや中性脂肪が流れやすい状態にする効果が強く、血管や血液を良い状態へと変化させます。
良い状態となった血管や血液は、多くの栄養をスムーズに流すことができ、体の細胞の新陳代謝が活発になり若々しい体になるのです。
そんなクリルオイルについて、特徴と、おすすめの摂り方を管理栄養士が解説します。
クリルオイルとは?
クリルオイルとは、「南極オキアミ」という生物からとった油のことです。
エビに似ていますが、実はプランクトンの仲間で、クジラが好んで食べる生物です。
あのクジラの巨体を支えるエサになるものですから、南極オキアミには何か大きなパワーが秘められているのではと研究されて作られたのが「クリルオイル」なのです。
クリルオイルはサラダ油のような油の形で販売されていることはほぼありません。そのほとんどはサプリメントの形で販売されています。
クリルオイルは抗酸化成分「アスタキサンチン」が非常に豊富!
クリルオイルの特徴として、「アスタキサンチン」が豊富に含まれていることがあげられます。
アスタキサンチンは人参のカロテンやトマトのリコピンと同じ、カロテノイドの仲間です。
アスタキサンチンは、クリルオイルのほかに、エビやカニや鮭などに多く含まれています。
▶抗酸化成分アスタキサンチンがコレステロールが高い人におすすめの理由・メカニズム、おすすめの摂り方
「クリル」とはオキアミという意味です。
南極オキアミを直接調べた正確なデータはありませんが、おなじ仲間のオキアミは、アスタキサンチン量が豊富な食品です。
同じ100gなら、通常食べる鮭(白鮭)の10倍のアスタキサンチンを含んでいます。
アスタキサンチンは油に溶ける性質を持つので、クリルオイルにも多くのアスタキサンチンが含まれていることになるのです。
クリルオイルがコレステロールを下げる効果と摂取量
コレステロールを下げるメカニズム
クリルオイルにはアスタキサンチンの他にEPAやDHAを多く含んでいます。
もともと血液中のコレステロールは、体の細胞に必要な脂質を運ぶ船の役割をしています。
肝臓で代謝された中性脂肪などの脂質をを全身に運ぶLDL(悪玉)コレステロールと、不要な脂質を細胞から肝臓に戻すHDL(善玉)コレステロールがあります。
クリルオイル内のDHAやEPAは血液の流れをスムーズにして、コレステロールの船が通りやすくする効果があります。
細胞にどんどん必要な材料が運ばれ、空いた船にどんどん不要物が積み込まれて肝臓へ戻ります。そうすることで、正常なコレステロール値になるのです。
さらに、クリルオイルが含むアスタキサンチンには「抗酸化力」というものがあります。
悪玉コレステロールは長い時間血液中にとどまると、体の中の活性酸素と反応して、更に悪さをする「酸化悪玉コレステロール」になり、動脈硬化を進めてしまいます。
アスタキサンチンは活性酸素を減らす抗酸化力を持ち、動脈硬化を防ぐ働きをするのです。
コレステロールを下げるためのクリルオイルの摂取量・摂取方法
クリルオイルは油の形で販売されているものはほぼ見かけません。
多くの商品がサプリメントの形で販売されています。
有名な商品で「グランプロ」というものもあります。カプセル型のサプリメントで、クリルオイル独特の赤い色が特徴です。
クリルオイルを使った様々な研究では、クリルオイル2~3gを摂取しての研究が多いので、1日2~3gの摂取量で効果が期待できると思われます。
正しくはサプリメントの1日の摂取量を守るようにしてください。
注意点
短期間で適量の摂取では問題ありませんが、体重が多い人はクリルオイルの摂取により糖尿病や冠動脈疾患のリスクを高める可能性があります。
血糖値を下げたという研究結果もあるので、血糖コントロール中の糖尿病患者は注意が必要です。
さらに、妊婦や授乳婦、子供については、クリルオイルの摂取で問題がないか、まだ十分検証されていないので、避けた方が安心です。
また、クリルオイルは魚油ですので、胸やけや魚臭、吐き気や軟便などの症状が出ることもあります。
上記のような状態・体質の人は主治医に相談の上、飲めるとなっても適量を必ず守るようにしてください。
まとめ
クリルオイルは、以前から「コレステロールを下げる効果がある」と言われてるDHAやEPAに加え、抗酸化力のあるアスタキサンチンが豊富という、血液サラサラと抗酸化作用のダブルの効果が期待できます。
サプリメントの形の商品が多いのは、やはり食品としてそのまま口にするには味や匂いがイマイチだからと考えられます。
健康診断などでコレステロール値を指摘されて、「何から始めようか?」という時に、このクリルオイルを試してみるのもおすすめです。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。