ピル(経口避妊薬)を飲むとコレステロールが上がるって本当?原因と対策を栄養士がアドバイス

1096_33ピルとはもともと英語で「錠剤」の意味を意味します。

日本では「経口避妊薬」の意味で使われていますが、ピルにはその他の働きもあり、多くの女性が服用しています。

ピルにも種類があり、避妊だけでなく生理痛や生理不順、子宮内膜症や子宮筋腫の治療、また生理日のコントロールなど、さまざまに使われています。

しかしながら、ピルには多くの副作用が知られており、日常生活が不自由になるほどの副作用が出ることがあります。

そんなピルの副作用の1つに、「血中コレステロール値の上昇」があります。

どうしてピルで血中コレステロール値が上がるのか、その場合はどのようなことに気を付ければよいのかを、管理栄養士の立場から説明します。

ピルには「中用量」と「低用量」の2種類があります

1096_39まずは、ピルにはどんなものがあるか、簡単に確認しておきましょう。

現在の日本では、「中用量」と「低用量」の2種類のピルが主に使われています。

その違いは以下の通りです。

中用量ピル

  • 卵胞ホルモン(エストロゲン)50μgが配合される
  • ホルモン配合量が多いため、吐き気や気分不快などの副作用が強く出る可能性もある
  • 月経異常(生理痛、経血多量など)で処方されることが多い(保険適用)
  • 不妊治療でも使われることもある(保険適用となる場合もあり)

低用量ピル

  • 卵胞ホルモン(エストロゲン)が50μg以下しか配合されていない
  • 避妊薬として使用されることも多い(費用自己負担)
  • 月経困難で使用されることもある(保険適用となることもある)
  • 副作用があるが、中用量よりは軽い

1096_36海外では、ピルは避妊や月経困難などだけに対してではなく、ニキビなどの肌荒れ対策として用いられることも多く、非常にメジャーで身近な薬です。

しかし日本では、ピルのメリット(効果)がデメリット(副作用)を上回ると医師が判断した時に限り、処方されることが多いです。

ですので、現在ピルを服用中の方は、何かしらの婦人科系のトラブルや悩みをお持ちで、その解決のためにピルを選択されているという状況かと思います。

ピルを飲まざるを得ない状況がある方にとって、「コレステロールが上がってしまう」をはじめとする副作用があるのは、ご不安なことと思います。

ピルには、飲み初めには
  • 吐き気、食欲不振、食欲増進
  • 発疹、黄疸、色素沈着
  • 乳房の張り
  • 下痢や便秘
  • 不正出血、経血量の増減
といった副作用が見られ、継続するにつれて
  • 肝機能の異常
  • 血栓症
  • 血中コレステロールの増加

1964_84といった副作用が出てくる場合があります。

安心してピルを飲み続けられるよう、ここからはピルの副作用のうちコレステロール上昇の原因を解説し、対策をアドバイスしていきますね。

なぜピルを飲むとコレステロールが上がるのか?原因は?

ピルを飲むと血中コレステロールが上昇するのは、ピルに含まれる「黄体ホルモン(プロゲステロン)」のためです。

女性ホルモンはもう1つの「卵胞ホルモン(エストロゲン)」があり、この2つはバランスをとりながら血液中を流れています。

月経困難(生理痛、経血多量など)は、黄体ホルモン・プロゲステロンの分泌量が少ないことが原因である場合も多く、黄体ホルモンを補充するためにピルが処方されることもあります。

2つの女性ホルモンのバランスは繊細に動いていますので、ピルを飲むことによって、黄体ホルモン・プロゲステロンがコレステロールを抑える働きのある卵胞ホルモン・エストロゲンより多くなってしまうなど、バランスが崩れてしまうとコレステロールが上がってしまいます。
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黄体ホルモン・プロゲステロンを増やしたなら、卵胞ホルモン・エストロゲンも増やせばいいのではないかと思いますが、卵胞ホルモンを増やし過ぎると、今度は血栓(血の塊)ができやすくなり、これが血流に乗って、細い血管を詰まらせてしまう「血栓症」になりやすくなってしまいます。

実際、2014年には低用量ピルの一種「ヤーズ」を服用していた女性の血栓症による死亡事例が相次ぎ、ピルの服用と死因の因果関係が否定できないとして、産婦人科界隈で非常に大きな動揺がありました。

以来、年々注意喚起のポスターやキャンペーンを見かけることも多くなってきています。

ピルを飲む以上は、コレステロール上昇、および血栓ができやすくなる可能性があると認識しておき、対策を習慣にするのがリスクを下げるために大切です。

この記事をお読みの方も、おそらくそういった情報を目にされて、血栓症予防やコレステロール増加に不安を抱かれ、対策の準備をされているかと思います。

ピルは有用な薬ですが、もともと血中の中性脂肪値やコレステロール値が高い人が服用すると副作用が現れてしまうかもしれません。

海外からの個人輸入などで購入することもできますが、自己判断での服用は避けるようにしましょう。

安全安心を第一に、産婦人科で診察を受けてきちんと処方されたピルを服用するのが安心です。

ピルを飲んでいる場合のコレステロール対策

ピルを飲み始めてから血中コレステロールが上昇したならば、食生活を主とした生活習慣の改善を行い、ピルの服用で血中コレステロール値が上がった分を含めて、正常値範囲内に収めておくことが大切です。

理想的には、ピルの服用前から正常値に収まっているのが望ましいですが、ピル服用開始からコレステロール値が上がってしまった場合も、正常値まで下げる対策を行います。

対策① 血中コレステロールを上げてしまう食べ物を避ける

1096_37卵、魚卵、うなぎなど食事性コレステロールの多く含む食品を避ける
全く食べてはいけないわけではなく、好んで普通より多く食べる習慣があるならば、控えるようにしてください。

肉の脂、バター、乳製品のとり過ぎに注意する
1096_38血中コレステロールの多くは、飽和脂肪酸を材料に肝臓で作られています。

飽和脂肪酸が多く含まれているのが、肉の脂、バター、乳製品などです。

特に女性はヨーグルトやチーズなどの乳製品や、バターをたくさん使った洋菓子などを多く食べる人が多いので、これらを控えめにしてください。

血中コレステロールを下げる食品を積極的に食べる

食物繊維の多い食品を摂る
卵や魚卵やうなぎなどの、食事性コレステロールの多い食品を食べるとしても、食物繊維を一緒に摂れば、食事性コレステロールの吸収は抑えることができます。

なので、食物繊維を多い野菜や海草をしっかり摂ることが大事です。

オメガ3系脂肪酸を摂る
food60オメガ3系脂肪酸(青魚に含まれるDHAEPA、植物油のα-リノレン酸)に直接血中コレステロールを下げる効果はありませんが、同じ血中脂質である中性脂肪を下げる効果があります。

中性脂肪が下がると、コレステロールを血液中に運び込む「リポタンパク」という物質が減るので、血中コレステロールが減ることにつながります。

さらに、魚を多く摂ると、肉類を食べる量が減り、先ほど述べた肉の脂の飽和脂肪酸を避けることにもなるのでおススメです。

食欲増進の副作用が出た場合の低カロリーおやつを準備しておく
ピルの副作用として食欲増進があります。食べ過ぎは血中コレステロールをさらに上げる原因になりますので、食欲増進の副作用の出ている方ならば、低カロリーのおやつを選んで食べるなどの工夫をしましょう。
コレステロールが気になる人のお菓子選び – どんなおやつなら大丈夫?

結論

1096_35ピルを飲むと、血中コレステロールが上がる傾向にあります。

それは、ピルが女性ホルモンを補充する薬であり、女性ホルモンはコレステロールのコントロールの一部を担っているからです。

ピルを服用している、または検討している方は、ピルの副作用でコレステロールが上昇することを予め認識しておき、血中コレステロールをより低く正常値内に保てるよう、コントロールしておくことが大切です。

そのためには、血中コレステロールを上げる食品を控え、下げる食品を積極的に摂ります。
悪玉コレステロール値を下げる食品とメカニズム、おすすめの摂り方まとめ

ピルには食欲増進の副作用もありますので、食欲のままに食べてしまうと、太ってしまうこともあり、これもコレステロール上昇につながります。

低カロリーのものを選んで食べる準備と工夫をしましょう。

コレステロールの上昇は、ピルの他の副作用(食欲の変化、吐き気、乳房の張りなど)と違って、体感的な自覚症状が現れないのがこわいところです。

普段から食生活を意識するとともに、血中コレステロール値が正常範囲に収まるように気をつけながらピルを利用しましょう。

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 監修者 大見 貴秀医師


フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。

医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。