近年、さまざまなスーパーフードを呼ばれる食品が話題になっていますが、日本で昔から食べられているスーパーフードこそが「ゴマ」です。あの小さな1粒には、たくさんの栄養が含まれています。その1つが「セサミン」という成分です。
ゴマはゴマ油が取れるくらいたくさんの油が含まれています。通常、油はそのまま置いておくと、空気中の酸素によって「酸化」という劣化が起こってしまいます。しかし、ゴマ油はほかの油に比べて、酸化が起こりにくい油なのです。
ゴマだけに含まれている「セサミン」の力が大きいと言われ、このセサミンの力は、血液中の悪玉コレステロールを低下させる効果があるのではないかと研究が進められています。
ゴマとその成分のセサミン、そして血中の悪玉コレステロール低下効果について、栄養士の立場から説明ます。
ゴマはどんな食べ物?
ゴマは古代から世界中で栽培されてる植物です。古代エジプトでは、薬として珍重されていて、昔から体に良い事は知られていました。ゴマの栄養成分としては、油がたくさん含まれています。
この油はオレイン酸とリノール酸が8割であり、この2つは不飽和脂肪酸という分類なので、悪さをしない油です。そして、ビタミン・ミネラルも豊富です。ゴマの栄養価は以下の通りです。
- エネルギー 52kcal
- タンパク質 1.78g
- 脂質 4.76g
- 炭水化物 1.66g
- ビタミンB1 0.09mg
- カルシウム 109mg
- マグネシウム 3.33mg
- 銅 0.15mg
白ゴマ、黒ゴマ、金ゴマでの栄養価の違いは示されていません。世界各地で食べられているゴマですが、もともと丈夫な植物なので、それなりに収穫できるために、品種改良には積極的ではないのです。
ゴマと悪玉コレステロールの関係
ゴマに含まれている「セサミン」には抗酸化作用があります。抗酸化作用とは、体の細胞を傷つける活性酸素を無害にしてくれる力です。この抗酸化作用で活性酸素が減るので、悪玉コレステロールがさらに悪さをする酸化コレステロールになることを防ぎます。
ゴマと悪玉コレステロールについては、様々に研究が進んでいます。試験管レベルの研究では、悪玉コレステロールの低下作用は多く確認されています。一部はヒトでも悪玉コレステロール低下したという結果も見られています。ですが、まだまだ研究段階です。
さらに、ゴマは昔から健康の食べ物と言われているので、悪玉コレステロールの低下作用だけが研究されているわけではありません。ゴマの効果として、ゴマ蛋白質分解物(ゴマペプチドを含む)が、血圧が高めの方に適すると表示が許可された特定保健用食品になっています。
ゴマは悪玉コレステロールだけではなく、他の健康効果も一緒に得られる食材なのかもしれません。研究がさらに進むことが期待されます。
コレステロールが高い人に適したゴマの摂り方
コレステロールが高い人に適したゴマの摂り方は、毎日続けることです。ゴマは料理からお菓子までさまざまに使える食材です。さらに、和洋中どの料理でも使われます。ゴマが世界各地で食べられてるということですね。
ゴマに含まれるセサミンの量は、0.67~6.35mg/gです。コレステロール改善効果で見られた実験では、32.4mg~64.8mgを8週間(2カ月)摂っています。そこから計算すると、1日10g程度のゴマを摂ると効果が期待できます。
10gのゴマは、大さじ1杯半程度の量なので、毎日摂るには難しくない量です。野菜の胡麻和えですと、1人分のゴマ量は、大さじ1程度です。ちょっと多めの和え衣にすると、ゴマ10gは無理なく摂れますね。
また、セサミ(ごま)パンがある位、ゴマとパンは相性が良い食品です。すりごま10gとココナッツオイル10gを一緒に混ぜてトーストに塗ると、とても美味しいスプレット(塗り物)になります。朝の定番にすると確実にゴマを摂れます。
ゴマは練りゴマ、ゴマ油、すりごまなど様々な形がありますが、ゴマ油にもセサミンは入っていますし、ゴマは殻が硬いので、すり潰したすりごまの形が栄養を吸収しやすいと言われています。さらに、「ごまぞう」という品種のゴマは、セサミンの含有用が高いゴマですので、試してみてもいいですね。
結論
ゴマは、血中悪玉コレステロールを下げる効果があるという研究結果も出ています。まだ研究段階ですが、ゴマは健康食として昔から世界中で食べられている食品であり、日本人にとっても摂るのが難しくないので、毎日の食卓に取り入れやすいのがメリットです。
ゴマで悪玉コレステロール低下効果を期待するには、1日大さじ1杯半(10g)摂ります。ゴマ和えなどの定番料理や、ゴマ油や練りゴマなど様々な形や方法で、毎日続けることが大事です。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。