40代になると、基礎代謝が低下し、肥満や高血圧、コレステロールの上昇などの症状が見られるようになってきます。男性なら仕事、女性なら育児や家事に追われ、運動をする時間を確保するのが難しい場合もありますよね。
基礎代謝が低下するということは、何もしなくても消費されるエネルギーが減ってしまうということです。若い頃と同じ食生活を続けていると、肥満を引き起こしてしまい、それに伴う様々な病気のリスクも高まります。
それでは、40代に現れてくる具体的な体の変化と、多く見られがちな悪玉コレステロールの上昇に対する対策について解説していきます。
40代に見られる体の変化
男性の変化
男性は、女性に比べると、ホルモン的な変化が少ないようなイメージがありますが、男性にももちろん身体的な変化は現れてきます。気持ちはまだ若いと思っていても、30代の頃に比べて疲れやすくなったり、小さい文字が見えなくなったなど、老化を感じ始める年齢になります。
「中年太り」や「四十肩」という言葉があるように、機能の衰えがはっきりと現れてくる世代です。職場や家庭でのストレスを抱えながら、それを発散する時間を持てないという人も多く、精神的な不安を抱える人も多くいます。
ストレスもコレステロールを上げる原因になるとも話しましたが、それに加えて食生活が乱れていたり、運動を定期的に行っていないとコレステロールを上げてしまうリスクが高まります。
→男性のコレステロールはなぜ上がる?男性ならではの原因と対策を解説!
女性の変化
女性が男性と多く違うのは、女性ホルモンの減少に伴う変化です。女性ホルモンは、月経や妊娠の際に重要な働きをするだけではなく、コレステロールや体重のコントロールにも深く関わっています。
40代になると基礎代謝が低下してくる上に、女性ホルモンの減少によって、体調にも変化が見られてきます。
40代の女性によく起こりがちな変化には、更年期障害や、男性と同じく中年太りが挙げられます。
今までは少しカロリーの高い食事をしたり、運動習慣がなくても、すぐに太るということがなかったかもしれませんが、そのまま同じ生活を続けていると、いつもは大丈夫だった健康診断で引っかかってしまったり、あっという間に体重が10kg太ってしまうという場合もあります。
→女性のLDLコレステロールはなぜ上がる?女性ならではの原因と対策を解説!
基礎代謝の低下を防ぐためには?
40代によく見られる体調や体型の変化、特に様々な病気の原因に繋がる肥満には、基礎代謝の減少が大きく関わっています。基礎代謝は何もせずにいるとどんどん低下してしまうので、若い頃から生活習慣を整え、基礎代謝が顕著に低下する40代を迎える前に高めておく必要があります。
運動で基礎代謝を高める
基礎代謝は、私たちが体を休めているときでも消費されるエネルギーのことで、内臓や脳の働きによって消費されるものです。体の筋肉量と比例し、筋肉が多く、体脂肪が少ない人ほど高くなる傾向にあります。
つまり、基礎代謝を高めるためには、筋肉量を増やすことを意識した生活を送ることが重要なポイントとなり、そのためには運動をすることはもちろん、食事の内容もとても重要です。
運動は、体脂肪を燃やすためには有酸素運動が良いとされていますが、筋肉量を増やしながらそのような運動を行うことで、代謝を高め、よりダイエット効果が高まります。有酸素運動だけではなく、筋肉を鍛えることを意識した筋肉トレーニングもとり入れていきましょう。
→悪玉コレステロール値を下げる運動
食事で基礎代謝を高める
食事は、肥満に結びつくような暴飲暴食は控えることはもちろんのこと、体を構成するたんぱく質をしっかりと摂りながら、糖質や脂質の過剰摂取を抑えることが大切です。
また、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素は、エネルギー代謝をサポートする機能を持っているため、これらが不足してしまうとエネルギーの消費がうまくいかず、体に脂肪が蓄積されてしまうこともあります。
基礎代謝を上げる上で重要なたんぱく質には、肉や魚、大豆、卵などがありますが、それぞれ構成しているアミノ酸や、栄養成分が異なりますので、より効率良く代謝をアップさせるための効果的な摂取方法を次の項目で解説します。
肥満解消でコレステロールも減少!基礎代謝を高める食事とは?
基礎代謝を高めるには、たんぱく質の摂り方が大切になります。たんぱく質を効果的に摂取することで、筋肉の合成がスムーズに行われ、基礎代謝を上昇させ、肥満解消やコレステロールの減少に結びつきます。
40代はまだまだ食が細くなったとは言いがたく、若い時の食習慣を維持されている人も多くいるかと思います。食事の量を極端に減らす必要はありませんが、1食の中での栄養バランスや、たんぱく質や脂質の量や質を見直し、コレステロールの減少に繋がるような食事内容を意識していきましょう。
たんぱく質の摂り方
たんぱく質といっても、いろいろな種類がありますが、大きく動物性たんぱく質と、植物性たんぱく質に分けることができます。たんぱく質は、アミノ酸という物質が結合してできたもので、この構成によってたんぱく質の質に差が出てきます。
筋肉の合成に良いとされるのは、アミノ酸スコアの高い動物性たんぱく質であり、肉や魚、卵などがオススメです。だからと言って、動物性たんぱく質ばかり食べていると、同時に摂取する動物性脂肪の割合も高くなってしまうのがデメリットとして挙げられます。
たんぱく質は、1食の中で20~30g摂るのが理想的ですが、メインの料理だけでこれをまかなおうとするのではなく、副菜に豆腐料理をつけたり、サラダのトッピングに大豆を使う、納豆をプラスするなどして、色々な食品を組み合わせて、必要なたんぱく質の量を摂るのが良いでしょう。
脂質の摂り方
肥満に直結しやすい脂質は、40代の食事の中では特に重要です。脂質は量だけではなく、質にも注意する必要があります。脂質の摂取量が多くなる、揚げ物や肉類は、量と頻度に注意をし、体に良い油とされるオメガ3脂肪酸(DHA、EPA)が含まれる魚油やエゴマ油などをしっかりととり入れていくことをオススメします。
結論
40代は、活動量が多く、基礎代謝も高かった20~30代から、更年期への移行期です。この時期は体の不調や変化を感じ始める人も多く、健康への不安も増し始めます。
コレステロールは、特定の食品を食べたから上がるというわけではなく、普段の生活習慣が大きく関わってじわじわと上昇していきます。コレステロールの上昇に繋がる肥満を防ぐためには、基礎代謝をいかに高めるか、ということが大事なポイントとなります。
基礎代謝を上げるために重要な、筋肉トレーニングと、たんぱく質の摂取と脂質の質を意識した食事を心がけ、肥満を防ぐことが悪玉コレステロールの対策にもなるでしょう。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。