いわゆる「おやつ」に分類される嗜好品を食べると、幸せな気分になれますが、その一方で罪悪感や後悔が生まれてしまうことも。太ったり、コレステロールが上がるのでは、と健康に対しての影響を気にしてしまいませんか?
もちろん、気にすることは悪いことではありません。しかし、そのような後ろめたい気持ちで食べるよりも、嗜好品を上手にとり入れて、もっと気持ち良く美味しさを感じられたら嬉しいですよね。
この記事では、コレステロールが高い人でも、ポテトチップスやアイスのように、高カロリーなおやつを楽しむポイントを解説していきます。
ポテトチップス、アイスってどんな食べ物?
ポテトチップスは、薄くスライスしたじゃが芋を油で揚げ、塩をまぶしたお菓子で、子供から大人まで誰でも楽しめる、定番のおやつです。味付けのバリエーションも多く、コンソメ、のりしおなどの他に、季節限定や地域限定の味付けなどもあり、様々な味で楽しむことができます。
冷んやりとした食感が嬉しいアイスは、夏の定番のおやつです。主に牛乳と砂糖を原料とし、冷やしながら撹拌してクリーム状にし、凍らせて作ります。乳脂肪分によって名称が異なり、高いものから順に、アイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイスと3種類に分けられていますが、一般的には全てを合わせて、「アイスクリーム」や「アイス」と呼ばれています。
ポテトチップスやアイスの食品成分
ポテトチップス | アイス | ||
標準的な1パックあたりの量 | 60g | 80g | |
エネルギー(kcal) | 332 | 144 | |
主要栄養素 | たんぱく質(g) | 2.8 | 3.1 |
脂質(g) | 21.1 | 6.4 | |
炭水化物(g) | 32.8 | 18.6 | |
ミネラル類 | ナトリウム(mg) | 240 | 88 |
カリウム(mg) | 720 | 152 | |
カルシウム(mg) | 10 | 112 | |
マグネシウム(mg) | 42 | 10 | |
リン(mg) | 60 | 96 | |
鉄(mg) | 1.0 | 0.1 | |
亜鉛(mg) | 0.3 | 0.3 | |
銅(mg) | 0.13 | 0.01 | |
ビタミン類 | ビタミンD(μg) | 0 | 0.1 |
ビタミンE(mg) | 3.7 | 0.2 | |
ビタミンK(μg) | 0 | 2 | |
ビタミンB1(mg) | 0.16 | 0.05 | |
ビタミンB2(mg) | 0.04 | 0.16 | |
葉酸(μg) | 42 | 0 | |
パントテン酸(mg) | 0.56 | 0.40 | |
ビタミンC(mg) | 9 | 0 | |
脂肪酸 | 飽和脂肪酸(g) | 2.32 | 3.71 |
n-3系不飽和脂肪酸(g) | 1.44 | 0.04 | |
n-6系不飽和脂肪酸(g) | 7.21 | 0.24 | |
コレステロール(mg) | 0 | 42 | |
食塩(g) | 0.6 | 0.2 |
1パックあたりの量は少なくても、どちらもカロリーが高く、食べ過ぎには注意が必要です。栄養素は、ポテトチップスはジャガイモ由来、アイスは牛乳由来の栄養素が含まれており、ビタミンやミネラル類を摂ることができます。
ポテトチップス、アイスとコレステロールの関係
ポテトチップスにはコレステロールは含まれていませんが、アイスには牛乳由来のコレステロールが含まれています。しかし、血中のコレステロールは、肝臓で合成されるものがほとんどで、食べ物からとったコレステロールはほとんど影響しないと考えられています。
そのため、アイスにコレステロールが含まれているからといって、コレステロールが上がるわけではありません。しかし、この二つのおやつを摂ることで、他の理由によりコレステロールが上がってしまうこともあります。
ポテトチップスを食べてコレステロールが上がる理由
ポテトチップスのような油で揚げたおやつには、トランス脂肪酸というものが含まれていることがほとんどです。トランス脂肪酸は、肥満やがん、免疫力の低下、アレルギーなど、体に様々な害を及ぼすといわれています。さらに、コレステロールを上昇させ、動脈硬化を引き起こす原因の一つにもなっています。
海外ではトランス脂肪酸の使用を規制している国もあり、訴訟問題にも発展しているケースもありますが、日本ではまだ規制する動きは見られていません。これは、コストが安く、使用しやすいからという理由に尽きますが、コンビニやスーパーの惣菜を作る揚げ油にも使用されている可能性が大ですので、自分の健康は自分で守る必要があります。
また、ポテトチップスは、単純にカロリーが高いというのも、コレステロールを上げる原因の一つです。60gで332kcalというカロリーは、ご飯200g(男性の1膳分ほど)に値します。余分なカロリーは、脂肪となって蓄積され、体内の中性脂肪の増加はコレステロールを上げる働きもあります。
アイスを食べてコレステロールが上がる理由
コレステロールが高い人は、動物性脂肪の摂取に気を付ける必要があります。動物性脂肪というと、大体の人がお肉を思い浮かべると思いますが、牛乳も動物からできているものです。
動物性脂肪が含まれている食品には、飽和脂肪酸が多く含まれています。脂肪は体を動かすためのエネルギー源となる重要な役割をしていますが、飽和脂肪酸には、コレステロールを上げる働きがあり、摂りすぎると動脈硬化などのリスクを高めます。
コレステロールが高い人に適したポテトチップス、アイスの摂り方
ポテトチップスの選び方
一般的なポテトチップスはカロリーが高いので、肥満の原因となりやすく、量を控えるのが一番です。1回に食べる量は、1/3~1/2袋がベストでしょう。家族や友達と分け合って食べても良いかもしれません。
しかし、最近はポテトチップスのバリエーションが増え、色々なタイプのものが販売されています。オリーブオイルで揚げたものやノンフライのものもあるようです。このようなポテトチップスであれば、コレステロールが高い人でも安心して食べられますよ。
アイスの選び方
アイスのカロリーは、含まれる乳脂肪分の量に比例します。コレステロールが高い人には、乳脂肪分が少なめのラクトアイスがオススメです。また、シャーベットのような氷菓は、乳脂肪分が含まれていなかったり、含まれていても僅かで、カロリーが低めになっています。
アイスは、種類によって成分やカロリーが大きく異なります。購入するときにはパッケージを確認し、カロリーと乳脂肪分の量をチェックしてみてください。
食べる時間について
高カロリーのおやつは、できるだけ控えるのが良いですが、どうしても食べたいときには活動量の多い、日中を選びましょう。夜遅い時間に口が寂しくなって食べたくなることもありますが、消費できなかったエネルギーは脂肪となり、コレステロールを上げる原因にもなります。
一緒に摂ると良いもの
ポテトチップスやアイスを食べるときは、コレステロールを下げる効果のあるお茶を一緒に飲むことをオススメします。
緑茶やルイボスティー、ウーロン茶などのお茶には、成分は違っても、それぞれコレステロールを下げる効果があります。お茶は、カロリーがほぼゼロなのも嬉しいポイントです。
逆にコーラや牛乳など糖や脂質が含まれたものは避けるようにしましょう。
結論
ポテトチップスやアイスにはコレステロールを上げる原因となる成分が含まれているので、食べる量や頻度には気をつける必要があります。
しかし、コレステロールが高い人でも、ノンフライのポテトチップスや、乳脂肪分の少ないアイスであれば安心して楽しむことができます。おやつと一緒にお茶を飲めば、コレステロールの上昇を、最小限に止めることができるでしょう。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。