たっぷりとチーズの乗ったピザは、こってりしていてカロリーが高く、「コレステロールを上げてしまうのでは?」と食べるのをためらってしまった経験はありませんか?ピザの1切あたりのカロリーや、どのくらいなら食べてもいいの?と、わからないことも多いですね。
ピザにはどのような栄養素が含まれていて、コレステロールにはどのように影響するのか、1食あたりの目安量や頻度などについて解説していきます。
ピザってどんな食べ物?
ピザは小麦粉で作られた生地の上にソースと野菜や肉などの具材を乗せ、チーズをかけて焼き上げたイタリア発祥の料理です。レストランや宅配を利用したり、冷凍やチルド品なども充実しており、今では一般に馴染んだ身近な料理の一つとなっています。
ソースの基本はトマトソースを用いますが、バジルソースやホワイトソースなど、バリエーションは広く、具材のアレンジも効くので、自分の好きな味を楽しめるというのも人気の理由の一つです。
ピザのカロリーってどのくらい?
ピザのカロリーは大きさや生地の種類、具材の種類によって異なってきます。宅配ピザのカロリーを見ると、レギュラー生地においてはMサイズ(約23cm)8等分で平均150〜200kcal、Lサイズ(約33cm)12等分で平均200〜250kcalとなっています。生地にチーズの入っているものはこれよりも高く、クリスピー生地のように薄いものは低くなる傾向にあります。
ピザのカロリーは肉類の種類や量、チーズの量によって左右されることが多く、トッピングして好みの具材を追加するとカロリーが高くなることもあるので注意が必要です。
栄養成分は?
ピザに含まれている栄養成分は、カロリーと同じく具材によって変わってきます。野菜が多ければビタミンやミネラル、食物繊維の量が増えますし、肉類やチーズが多ければたんぱく質、脂質の量が多くなります。
ごく標準的なトマトソース、サラミ、玉ねぎ、ピーマンを使用したミックスピザに含まれる食品成分は次のとおりです。
ミックスピザ(Mサイズ1/6切相当)
エネルギー | 194kcal |
たんぱく質 | 9.23g |
脂質 | 8.79g |
炭水化物 | 19g |
ビタミンD | 0.06μg |
ビタミンE | 0.51mg |
ビタミンK | 2.45μg |
ビタミンB1 | 0.09mg |
ビタミンB2 | 0.14mg |
ナイアシン | 1.92mg |
ビタミンB6 | 0.07mg |
ビタミンB12 | 0.76μg |
葉酸 | 16.7μg |
パントテン酸 | 0.34mg |
ビタミンC | 6mg |
カリウム | 102.7mg |
カルシウム | 135.8mg |
マグネシウム | 14.8mg |
リン | 200mg |
鉄 | 0.6mg |
亜鉛 | 1.1mg |
銅 | 0.08mg |
食物繊維 | 1.1g |
食塩 | 1.3g |
主要栄養素の炭水化物、たんぱく質、脂質のエネルギー比率を見ると、炭水化物が少なめで、脂質に偏っており、栄養バランスの良い料理とはいえません。ビタミンやミネラル類は少量なものもありますが、色々な栄養素が幅広く含まれており、トッピングの具材によって調整も可能です。
ピザとコレステロールの関係
偏った栄養バランスがコレステロールを上げる?
ピザを食事として食べる時、男性なら少なくとも3〜4枚、女性でも2〜3枚は食べると考えられます。カロリーに換算すると、幅はありますが400〜600kcalのあたりが平均的な値です。
この範囲内であれば、1食分のカロリーとしてはそれほど多いものではなく、カロリーを摂りすぎるという心配もありませんが、コレステロールに影響してしまう原因の一つとして、偏った栄養バランスが挙げられます。
体に入ったエネルギーとなる炭水化物・たんぱく質・脂質の主要栄養素と、そのエネルギーを作り出す働きをサポートする、ビタミンやミネラルの微量栄養素があります。微量栄養素が不足すると、このエネルギーを作り出す代謝サイクルがスムーズに回らなくなり、消費できなかった栄養素は脂肪となって蓄積されていきます。
脂肪の蓄積は中性脂肪の増加となり、中性脂肪は血中の悪玉コレステロールを増やす作用があることからも、脂質が多く、微量栄養素の少ないピザの栄養バランスの乱れが、結果的にコレステロールを上げる原因の一つとなっているといえます。
飽和脂肪酸がコレステロールを上げる?
脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は動物性食品に多く含まれており、不飽和脂肪酸は植物性食品に多く含まれています。ピザに使われている肉やチーズは動物性食品ばかりで、含まれている飽和脂肪酸には悪玉コレステロールや中性脂肪の増加をさせる作用があります。
コレステロールが高い人に適したピザの摂り方
ピザは脂質を多く含み、コレステロールを上げやすい料理であるといえますが、次のようなポイントに気を付ければ、コントロールすることも可能です。
一度に食べる量や頻度
パーティーのように他の料理もある時、ピザだけを1食のメインとして食べる時などその時の食事のスタイルにもよりますが、1日の摂取カロリーの目安が1800kcalの成人女性であれば、1食あたり600kcalを目安とすると、ピザだけの食事ではMサイズのピザで3枚が限度です。
しかし、ピザは栄養成分が脂質に偏っていることから、ピザだけではなく、他の料理もとり入れながら足りない栄養素を補っていけるようなスタイルをとるのが理想です。
ピザを毎週のように食べる人は少ないかと思いますが、食べる頻度はできるだけ少ない方が良いでしょう。月に1〜2回程度であれば健康に与える影響も少なく、直接肥満に繋がる原因になることもないと考えられます。
ピザを食べる時間
ピザはカロリーが高い食べ物であるので、遅い時間にとると摂取したカロリーを全て消費できず、脂肪として蓄積されてしまう可能性があります。できるだけ活動量の多い日中に食べるか、それが無理な時でも早めの夕食としてとり入れましょう。遅くても20時には食べ終えているのが理想です。
ピザのタイプ
ピザはソースや具材によってカロリーや栄養成分が変化します。クリーミーなソースにはバターが使われている場合が多いので、トマトソースや醤油を使用した和風のソースなど、あっさりとした味付けのものを選びましょう。具材は野菜が多く、肉が少ないものを基本とし、トッピングができる時は野菜を増やしてみるのもオススメです。
サイドメニューも一緒に
家庭でも外食でも、ピザを食べる時は一緒にサラダをとり入れましょう。野菜に含まれる食物繊維には脂質の吸収を抑制し、体外に排出する働きがあります。脂質の多い食事をする時は野菜を先に食べておくとコレステロールへの影響を軽減し、さらに胃の中に先に食べ物を入れておくことで、少ない量でも満足感がアップし、食べ過ぎの防止にも効果的です。
結論
ピザは脂質の多い料理のため、食べすぎると肥満や高コレステロール血症の原因となることもあります。しかし、ソースやトッピングの具材、チーズの量を調整することで、その影響を減らすことも可能です。一緒にサラダを食べたり、食べる量や頻度にも気を付け、楽しみながらピザを食べましょう。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。