「イクラ」を食べても悪玉コレステロールは上がらないが摂取量には要注意

1563_4イクラはお祝いや記念の席でご馳走として食べられることが多く、高級なイメージのある食材の一つです。

イクラを含め、魚卵はコレステロールを上げる食材の代表的な食材として、摂取量に注意をする必要がありました。

しかし、科学的な根拠が得られないことから、2015年の食事摂取基準の改訂によってコレステロールの摂取基準値は撤廃されてしまったのです。

しかしイクラにはさまざまな栄養素が含まれており、健康効果を期待できるものもありますが、中には過剰摂取によって健康に害をもたらしてしまうものもあります。

このように、コレステロールを上げることはないと言われても、摂取量に注意が必要なことには変わりません。それではイクラにはどのような栄養素が含まれており、どのようなことに気を付けてとり入れていけば良いのか詳しく説明していきます。

イクラってどんな食べ物?

イクラは鮭の卵で、卵を一粒ずつに分離して塩漬けにしたものです。膜がついたまま塩漬けした筋子とは区別されています。主に寿司のネタや海鮮丼などに使用されることが多く、また和え物のトッピングや彩りとしても用いられます。

食品成分

それではイクラ100gあたりの栄養素の量をみていきましょう。目安として、イクラ大さじ1杯の重さは約18gです。

1.エネルギー量・水分・主要栄養素

エネルギー 272 kcal
水分 48.4 g
たんぱく質 32.6 g
脂質 15.6 g
炭水化物 0.2 g

2.ミネラル類

ナトリウム 910 mg
カリウム 210 mg
カルシウム 94 mg
マグネシウム 95 mg
リン 530 mg
2.0 mg
亜鉛 2.1 mg
0.76 mg

3.ビタミン類

βカロテン当量 0 μg
ビタミンA 330 μg
ビタミンD 44 μg
ビタミンE 9.1 mg
ビタミンK 0 μg
ビタミンB1 0.42 mg
ビタミンB2 0.55 mg
ナイアシン 0.1 mg
ビタミンB6 0.06 mg
ビタミンB12 47.3 μg
葉酸 100 μg
パントテン酸 2.36 mg
ビタミンC 6 mg

イクラは主要栄養素を見ると、炭水化物の含有量は少なく、たんぱく質と脂質が多く含まれています。また、ミネラルやビタミンもさまざまな種類が含まれており、幅広い栄養素を摂取することができますが、摂取過多に繋がる栄養素もあり注意が必要です。

イクラは悪玉コレステロールを上げません

イクラに含まれるコレステロールの量

いくら100g中に含まれるコレステロールの量は480mgです。お寿司屋さんで軍艦巻きを1個程度食べたくらいでは、ごく僅かな量しか摂取することはありませんが、何個も食べたり、イクラ丼などを食べた場合はこのくらいの摂取量となることも考えられます。

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以前は食品からのコレステロールの摂取量の1日の上限は、成人男性で750mg、女性で600mgまでとされていました。しかし、科学的な根拠が得られないことから、2015年度に改訂された「日本人の食事摂取基準」においてその上限値が撤廃されてしまったのです。

このことから今までのようにイクラだけではなく、コレステロールが高いと言われていた食品の摂取について制限はなくなり、好きなだけ食べても良くなったという解釈をされるようになりました。

しかし、食品成分の項目で説明したように、イクラに含まれる栄養素はコレステロールだけではありません。イクラにはさまざまな栄養素が含まれており、摂取量に注意しないと過剰症が見られるものもあります。

イクラに特に多く含まれている栄養素

ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの量を調整し、骨や歯を健康に保つ働きをしています。また、筋肉の収縮や神経の伝達にも関わっている、重要な働きをする栄養素です。

ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、とりすぎた分は体に蓄積されてしまいます。過剰摂取が続いた場合は高カルシウム血症による吐き気や動脈硬化・腎機能障害を引き起こす可能性があるので注意しましょう。

イクラ100gに含まれているビタミンDの量は1日に必要な量の約9倍も多く含まれています。


銅は鉄から赤血球が作られる働きをサポートする栄養素です。血液を作るためのヘモグロビンを必要な場所へ運んでくれます。鉄が十分に摂取できていても、銅が不足していると赤血球が作れず貧血になってしまいます。

1日程度のイクラの摂取では過剰症は心配いりませんが、習慣的に多く摂取している人は肝障害などの健康を害するリスクが高まりますので気を付けましょう。

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ビタミンB12
ビタミンB12は赤血球の生成を助け、貧血の予防や改善に効果的な作用をもたらします。また、たんぱく質の合成をサポートし、神経の働きを正常に維持する働きもあります。

イクラ100gを摂取するだけで、1日に必要な量の23倍にもなってしまいますが、ビタミンB12は水溶性ビタミンのため、とりすぎてもすぐに尿へ排出されるので過剰症については心配いりません。

このように、イクラ100gを摂取することで1日の必要量を大きく上回ってしまう栄養素もあります。健康管理のためには、コレステロールに注目するだけではなく、他の栄養素についても注意をすることが大切です。

イクラのもつ健康効果

過剰摂取に気をつける必要がある栄養素が存在する一方で、もちろん体にとって良い効果をもたらしてくれる栄養素が含まれているのも事実です。

たんぱく質
筋肉や血液を作る材料となる栄養素です。筋肉量を増やすことは代謝を上げることに繋がりますので、脂肪が燃えやすい体となり、ダイエット効果も期待できます。

ビタミンE
抗酸化作用があるため、体内の脂質の酸化を防止し、老化や動脈硬化防止に役立ちます。

葉酸
1563_1ビタミンの一種で、新しい細胞を作る時には欠かせない栄養素です。

また、胎児の神経管閉鎖障害という先天性の病気を予防したり、新生児の正常な発育には欠かせません。妊娠期や授乳期には葉酸をよく摂るように推奨されています。

この3つの栄養素は、イクラを100g摂取したとしても摂りすぎにはなりません。他の食品を摂取することも考慮すると、むしろ健康効果をもたらしてくれる適量を含んでいるということができます。

過剰摂取に気をつけなければならない栄養素と、健康効果をもたらしてくれる栄養素を十分に理解し、他の食品とのバランスを見ながら食事内容を選んでいくことが健康維持の秘訣といえます。

結論

イクラを好きなだけ食べても、血中のコレステロールが上がることはないと解釈して間違いはありませんが、その他に含まれる栄養素によって、過剰摂取による副作用が見られる場合もあるということを知っておかなくてはなりません。

特に気を付けたい栄養素はビタミンDや銅です。これらは摂りすぎると体に蓄積されていくため1回に食べる量はもちろんのこと食べる頻度にも注意する必要があります。

その一方で健康効果をもたらしてくれる栄養素として、たんぱく質やビタミンE、葉酸などもあります。それぞれの特徴を理解して、他の食品とのバランスを考えながら効果的に摂取しましょう。

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 監修者 大見 貴秀医師


フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。

医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。