お茶には色々な種類があり、茶葉の種類や熟成方法によって風味や栄養効果が異なります。
神経を興奮させるカフェインが含まれているものもあれば、ハーブティーなどリラックス効果のあるものまで様々です。
お茶はそのほとんどがカロリーゼロのため、ダイエットをしていても気にせずに飲めるところが嬉しいですね。そしてお茶の種類によってはコレステロールを下げる作用のあるものもあります。
それぞれのお茶に含まれる効果や特性を正しく理解し、自分に合ったものを選べるように知識を身に付けましょう。
お茶の種類はどんなものがある?
世界中では様々なお茶が飲まれていますが、日本でよく飲まれているお茶には大きく分けて3種類あります。
- 日本茶:煎茶・玄米茶・番茶・麦茶など
- 中国茶:ウーロン茶・ジャスミン茶など
- 紅茶:ダージリン・アールグレイなど
また、茶葉の発酵具合による分類の仕方もあります。
- 不発酵:煎茶・番茶・玉露茶
- 半発酵:ウーロン茶
- 発酵:紅茶
茶葉の種類や発酵具合によってお茶を細かく分けると、日本茶だけでも約20種類以上もあります。
日本で普段最も飲まれている代表的なお茶は「煎茶」です。煎茶は緑茶に分類され、新鮮な状態で蒸したり炒めることで酸化を止めた不発酵茶です。この茶葉を熱処理し、水分を下げてある程度保存に耐えられる状態にする、最も一般的な方法で作られたものを煎茶といいます。
そして普通の煎茶よりも、さらに2倍近く長い時間をかけて茶葉を蒸して作ったお茶を「深蒸し煎茶」と呼びます。深蒸し煎茶は茶葉が細かくなるため、茶葉そのものに含まれる有効成分も体に取り込むことができ、栄養効果が高くなります。
緑茶をよく飲む人ほど血中コレステロールが低いという研究結果があり、その中でも「深蒸し煎茶」は特にその効果が期待できるお茶として知られています。それでは、煎茶にはどのような成分が含まれているのかみていきましょう。
煎茶に含まれる栄養素
煎茶に含まれる代表的な成分としては、カテキン・カフェイン・アミノ酸などが挙げられます。この他にもビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。
そして、これらの成分には水に溶けてしまうものと溶けないものがあり、普通の煎茶では70~80%が捨てる部分のお茶の葉に栄養分が残ってしまいます。
水溶性成分(お茶の浸出液に抽出されるもの)
栄養効果 | |
カテキン | 抗酸化作用 コレステロールを下げる 血圧を下げる 血糖を下げる |
カフェイン | 利尿作用 代謝促進 |
ビタミンC | 免疫機能の強化 抗酸化作用 コラーゲン生成 |
GABA | 血圧を下げる |
亜鉛 | 味覚異常の防止 皮膚炎の防止 |
銅 | 抗酸化作用 |
カリウム | 血圧の調整 |
フッ素 | 虫歯予防 |
不溶性成分(お茶の葉に残るもの)
栄養効果 | |
食物繊維 | 抗ガン作用 血糖を下げる |
たんぱく質 | 筋肉や血液を作るもとになる |
脂質 | エネルギー源となる 脂溶性ビタミンの吸収に不可欠 |
ビタミンE | 免疫機能の改善 抗ガン作用 |
βカロテン | 抗酸化・抗ガン作用 |
クロロフィル | 消臭効果 |
コエンザイムQ10 | 老化予防 美肌効果 |
深蒸し煎茶は茶葉が細かく普通は葉に残ってしまう栄養素も、お茶と一緒に飲むことができます。そのため、煎茶と深蒸し煎茶のお茶の葉自体の栄養素はほとんど変わりませんが、浸出液にはβカロテンやビタミンE、ミネラル、食物繊維の含有量は深蒸し煎茶の方が優れています。
このように、お茶の成分には様々なものがありますが、直接コレステロールを下げる働きをするのは「カテキン」によるものです。カテキンはポリフェノールの一種で、タンニンと呼ばれる渋みの主成分です。
紅茶やウーロン茶にもカテキンは含まれていますが、カテキンの種類や割合・含有量などに違いがみられ、コレステロールを低下させる効果が一番高いお茶の種類は煎茶であるといえます。
煎茶のオススメの飲み方
お茶は淹れ方や茶葉の量により風味が変化していくものです。コレステロールを下げる効果をより高いものにするために、オススメの飲み方を説明します。
お茶を入れるのに適した水
水にも色々な種類があり、水道水を使用しても問題はありませんが、塩素が含まれているため必ず沸騰させてから使用するようにしましょう。ミネラルウォーターを使用する場合には、ボトルに表記されている「硬度」を確認する必要があります。
外国産のミネラルウォーターはマグネシウムやカルシウムを多く含む「硬水」であることが多いので、お茶の風味や成分を弱めてしまう可能性があるので、「軟水」と表記されているものを選ぶようにしましょう。
お茶を入れる温度
カテキンをより多く抽出するためには、高い温度のお湯を使用することが理想的です。
うまみ成分であるアミノ酸は50 ~60度で抽出されますが、カテキンは80度以上の温度で抽出し始められます。
茶葉とお湯の量
・普通の煎茶
お湯の量1杯200mlに対して茶葉は4gが理想です。80度以上のお湯を一度湯のみに入れてから急須に移し、約30秒で浸出させましょう。
・深蒸し煎茶
お湯の量1杯150〜200mlに対して茶葉は4gです。深蒸し煎茶は茶葉が細かく、有効成分が溶け出しやすいので、20〜25秒程度の浸出時間が理想です。
1日の摂取量の目安
商品によってカテキンの含有量は異なりますが、平均的にお茶1杯に含まれるカテキンの量は100mg程度とされており、生活習慣病の予防に対しては1日に300~400mgの摂取が理想とされています。
ただし気を付けたいのは、煎茶にはカフェインも含まれているという点。飲みすぎは神経を興奮させ、夜に飲むと睡眠を妨げるリスクがあります。
1日3~4杯を目安に生活にとり入れることで、コレステロールを下げる効果はもちろん、他の生活習慣病の予防も期待できることでしょう。
茶葉の保存方法
茶葉は保存方法を誤ると急激に品質が劣化してしまいます。なるべく少量単位で購入し、密閉容器に入れて、湿気の少ない冷暗所で保管しましょう。
結論
お茶にはさまざまな種類がありますが、コレステロールを下げる作用のある種類は「カテキン」の多く含まれる煎茶です。同じ煎茶でも、じっくりと蒸して作られた深蒸し煎茶は、茶葉が短く浸出液に栄養成分が多く含まれます。
カテキンが多く抽出されやすい80度以上のお湯を使用し、かき混ぜながら飲むようにすると、コレステロールを下げるだけではなく、体にとって有効な栄養成分をより多く摂取することができるでしょう。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。