アボカドは美容に効果がある食品として知られていますが、「森のバター」と呼ばれるくらい脂質が多く含まれており、コレステロールに気を付けている人にとっては気になるところです。
いくら体に良いといわれていても、食べ過ぎることによって私たちの体には影響があるのでしょうか。
健康効果の高い食材であるアボカドがコレステロールを下げる食品なのか、上げる食品なのかという気になるポイントや、正しく食べる方法についても説明していきます。
アボカドってどんな食べ物?
アボカドは野菜に分類されると認識されることが多いようですが、実はこれは間違いです。食品成分表ではクスノキ科に属する「果物」と分類されており、中南米原産のトロピカルフルーツの一つです。
別名バターフルーツと呼ばれるほど、脂質が多く含まれているのが特徴で「森のバター」という呼称でも知られています。分類は「果物」ですが、甘味がほとんどないため、デザートよりも料理の食材として使用される方が多いでしょう。
それでは、アボカド(1個=140g)の栄養価についてみていきましょう。
1. エネルギー量・水分・主要栄養素
エネルギー | 262 kcal |
水分 | 100 g |
たんぱく質 | 3.5 g |
脂質 | 26.2 g |
炭水化物 | 8.7 g |
2. ミネラル類
ナトリウム | 9.8 mg |
カリウム | 1,008 mg |
カルシウム | 12.6 mg |
マグネシウム | 46.2 mg |
リン | 77 mg |
鉄 | 0.98 mg |
亜鉛 | 0.98 mg |
銅 | 0.34 mg |
3. ビタミン類
βカロテン当量 | 105 μg |
ビタミンA | 8.4 μgRAE |
ビタミンD | 0 μg |
ビタミンE | 4.6 mg |
ビタミンK | 0 μg |
ビタミンB1 | 0.14 mg |
ビタミンB2 | 0.29 mg |
ナイアシン | 2.8 mg |
ビタミンB6 | 0.45 mg |
ビタミンB12 | 0 μg |
葉酸 | 117.6 μg |
パントテン酸 | 2.31 mg |
ビタミンC | 21 mg |
エネルギー源となる三大栄養素をみると、脂質の割合の高さが目立ちます。ビタミンやミネラルは豊富に含まれており、様々な種類を摂ることができ、栄養価の高い食材であるといえます。
アボカドに特に多く含まれている栄養素
ビタミンE
抗酸化作用があり、体内の脂質の酸化を防いで体を守ります。
パントテン酸
エネルギー産生に不可欠な酵素の働きをサポートします。
カリウム
体内の浸透圧を維持し、血圧を下げてくれます。
銅
ヘモグロビンをつくるための鉄を必要な場所に運んでくれます。
アボカドはコレステロールを上げる?下げる?
アボカドに含まれる脂質の種類
脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。
飽和脂肪酸は肉やバターなどに含まれ、中性脂肪やコレステロールを増やす作用があり、不飽和脂肪酸にはコレステロールを減らす働きがあります。
アボカドは「森のバター」といわれるほど脂質が多く、カロリーも高い食品ですが、アボカド自体にはコレステロールは含まれていません。そして、アボカドに含まれている脂肪酸の約8割が不飽和脂肪酸のため、血中のコレステロールを下げてくれる効果を期待できる食品であるということができるでしょう。
アボカドは適量を守ることが大切!
ただし、コレステロールを下げる効果がある食品だからといって、たくさん食べれば良いというわけではありません。アボカドは1個で262kcalとカロリーが高く、茶碗1杯分のご飯と同じカロリーに値します。
アボカドに含まれる不飽和脂肪酸は血液をサラサラにしたり、脂質の吸収を抑える作用があるのは確かですが、アボカドを食べ過ぎることによって栄養価が偏り、肥満に繋がる可能性が高くなります。
コレステロールが高い人に適したアボカドのとり方
アボカドにはコレステロールは含まれておらず、不飽和脂肪酸の作用からコレステロールは下がることが期待できます。しかし、健康管理を行う上で、様々な病気の原因となる肥満を防止するためにも、アボカドの食べ過ぎには気をつけておく必要があります。
1日の摂取量の目安
アボカドは1日1/2個の摂取で一番高い効果を感じることができます。アボカドは様々な栄養素が含まれていますが、摂りすぎることによって過剰症が出る場合もあるので気を付けましょう。
また、アボカドを食前に食べることで脂質の吸収が抑えられ、満腹感を得ることもできるので、食事の摂取量が減り、ダイエットにも良い効果をもたらします。
オススメの食べ方
・わさび醤油
お刺身のような食感のあるアボカドは、わさび醤油ととても相性が良く、定番の料理です。
オリーブオイルや塩を使ってカルパッチョ風にしてもヘルシーですね。
・アボカドのマグロ和え
アボカドの適度な脂でマグロの脂身が増したような食感になります。
お刺身はとてもヘルシーでたんぱく質源にもなるので、ダイエット中にもオススメです。
・焼き野菜のディップ
完熟したアボカドをソースにして、ビタミンや食物繊維たっぷりの野菜と組み合わせることで、さらに栄養価がアップします。
アボカドの選び方と保存方法
アボカドは弾力性があり果皮がやや黒味がかっているものを選びましょう。皮が固く緑色のものは室温で追熟すると美味しく食べることができます。身は空気に触れると変色してしまうので、切ったらラップに包み冷蔵庫へ保管し、数日で食べきりましょう。
結論
アボカドはとても栄養価の高い果物で、サラダやディップソースとして楽しむことができます。
「森のバター」と呼ばれるほど脂質が高い点が気になりますが、アボカドに含まれている不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる働きがあります。
ただし、いくらコレステロールを下げる作用があるからといっても食べすぎは禁物です。摂りすぎによるビタミンやミネラルの過剰症や、カロリーが高いため肥満に繋がる可能性があります。
アボカドは1日1/2個で、一番の効果を発揮しますのでとりすぎには注意です。サラダやお刺身は、アボカドをプラスすることでまろやかな食感が増し、彩りも鮮やかになるので見た目にも楽しい食事に変化させることができますよ。
フリーランスの麻酔科医として複数の病院で勤務。生活習慣病アドバイザー、麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本麻酔科学会会員、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員。
医師として生活の質を上げ、楽しく健やかな毎日を過ごして頂くため「健康」に関する執筆も行っています。